- 「コールバック予約システム」とは顧客の希望時間にオペレーターが折り返す仕組みで、放棄呼・あふれ呼を削減し顧客満足度を向上させる
- 予約管理や既存システム連携により業務を可視化することで、計画的な人員配置とオペレーター負担軽減を実現できる
- 導入時は自社課題との適合性・セキュリティ・費用対効果を確認し、予約導線の設計と効果測定で運用を最適化する
コールセンターを運営するうえで、「お客様を待たせてしまい電話を切られてしまった(放棄呼)」、「そもそも電話が殺到してつながらない(あふれ呼)」などは、多くの企業が抱える共通の課題です。このような課題は企業の信頼性や顧客満足度を低下させるだけでなく、ビジネスチャンスの損失にもつながります。
本記事では、これらの課題を解決する施策の一つとして、「コールバック予約システム」について紹介。基本機能からメリット、実際の企業の導入事例、導入方法まで、分かりやすく解説します。
コールバック予約システムが、課題をいかに解決できるかの全体像が掴める記事になっているため、コールセンターの改善にお役立てください。
コールバック予約システムとは?

コールバック予約システムとは、「顧客が都合の良い時間を指定し、オペレーターから折り返し電話を受けられるようにする仕組み」です。
このシステムを導入することで、電話が混み合っている時間帯でも顧客は長時間待つ必要がなくなります。また、オペレーターは予約された時間に計画的に電話をかけられるため、業務を平準化することが可能です。
コールバック予約システムは、お客様の待ち時間によるストレスを解消すると同時に、オペレーターの業務負担を軽減し、より質の高い顧客対応を実現できる仕組みです。
コールバック予約システムの基本機能
コールバック予約システムの導入を検討する際、どのような機能があるかを知ることが重要です。ここでは、基本的な機能から、より高度な機能まで、システムの主要な機能を分かりやすく解説します。
予約管理
コールバック予約システムのメイン機能である「予約管理機能」は、ウェブサイト上の予約カレンダーから、お客様自身が24時間365日、空いている時間帯を選んでコールバックを予約できる機能です。
顧客側のメリットとして、営業時間や混雑を気にせず、いつでも好きな時に予約ができます。予約の確認・変更・キャンセルもオンラインで完結するため、利便性が格段に向上するでしょう。
企業側のメリットとして、予約はリアルタイムでカレンダーに反映され、ダブルブッキングを自動で防止できる点が特徴です。電話で受け付けた予約も手動で追加でき、すべての予約情報を一元管理できるため、管理コストを大幅に削減できます。
オペレーターのリソース管理・調整
予約状況に合わせて、対応するオペレーターの数やシフトを柔軟に調整する機能です。
例えば、予約が集中する時間帯はオペレーターを増員して予約枠を拡大、逆に予約が少ない時間帯は人員を減らすなど、無駄のない効率的な人員配置が可能になります。
さらに、問い合わせ内容に応じて専門知識を持つオペレーターを自動で割り当てることもでき、対応品質の向上と業務効率化を両立させることが可能です。
既存の顧客管理システムやIVR(自動音声応答システム)との連携
自社ですでに導入している、顧客管理システム(CRM)やIVR(自動音声応答システム)と連携できる機能です。
予約時に入力された氏名や連絡先などの顧客情報が自動的にデータベースに蓄積されるため、データの二重入力や入力ミスを防ぎます。
また、オペレーターは過去の対応履歴などをCRMで確認しながら電話をかけられるため、一人ひとりの顧客に合わせたよりスムーズで、質の高いサービスを提供することができます。
自動リマインドメール・メッセージ配信
予約完了メールや、予約前日のリマインドメールを自動で送信し、お客様の「うっかり忘れ」を防ぐ機能です。予約日時や内容、予約の変更・キャンセルができるURLが記載されているので、顧客はいつでも予約の確認・変更・キャンセルができます。
また、対応後には、お礼メール(サンキューメール)を自動送信することも可能です。このメールにコールセンターの対応に関するアンケートURLを付ければ、顧客の生の声(フィードバック)を収集し、サービス改善につなげられるでしょう。
オンライン相談ツールとの連携
ZoomやGoogle MeetなどのオンラインツールのURLを、予約確定と同時に自動で発行・通知する機能です。個別に手動でURLを発行して通知する手間が省けるため、業務効率が大幅に向上し、URLの送り間違いなどの人為的なミスも削減できるでしょう。
発行されたURLは管理画面にも表示されるため、予約情報からすぐにオンライン相談の画面にアクセスできます。
コールセンターの予約システムの詳細は以下のページでご紹介しています。
コールバック予約システムの導入の3つのメリット

コールバック予約システムを導入することで得られる代表的なメリットをご紹介します。自社の課題解決に役に立つものがあるか、ご確認ください。
あふれ呼・放棄呼の削減
コールバック予約ができると、コールセンターへの架電を分散できるようになります。その結果、放棄呼(放棄されたコール)やあふれ呼(回線数やオペレーター数以上の入電により電話対応できない状態)の対策へとつながります。
弊社が運営する予約ラボの調査では、コールセンター利用時、不満を感じたことを聞くと、「なかなかつながらなかった」が64.3%で最も多く、「自動音声で番号入力操作を促される」が43.1%、「つながっても別の問い合わせ先などを案内される」が35.4%でした。

コールセンターが混み合いオペレーターにつながらないと、顧客の不満が募ります。また、自社の商品やサービスに興味がある顧客との接点が持てず、機会損失につながることも考えられるでしょう。
放棄呼率やあふれ呼率は、コールセンターの重要なKPIとして設定することが多いです。コールバック予約システムは放棄呼やあふれ呼を抑え、コールセンター運営を最適化することができるでしょう。
オペレーターの業務効率化
コールバック予約システムは、いつ、どれくらいの電話対応が必要かを可視化します。例えば「明日の午前10時台に5件の予約がある」と事前に分かっていれば、必要な人員を的確に配置することが可能です。
これにより、オペレーターは目の前の電話に追われるのではなく、計画的に業務を進められるようになります。また、予約時に問い合わせ内容を事前に入力してもらえば、下調べをした上で電話をかけられるため、通話時間の短縮と対応品質の向上が期待できます。精神的な負担も軽減され、従業員満足度や定着率の改善にもつながるでしょう。
顧客満足度の向上
「自分の都合の良い時間に連絡をもらえる」という体験は、顧客にとって非常に価値があります。企業側から折り返すという能動的な姿勢は、「自分のことを大切に扱ってくれる企業だ」というポジティブな印象を与え、顧客満足度を大きく向上させるでしょう。
仕事や家事で日中の電話が難しい顧客でも、空き時間に合わせて予約ができるため、利便性が大幅に向上します。このような優れた顧客体験の提供は、企業のブランドイメージ向上と、長期的なファン(ロイヤルカスタマー)の育成に貢献します。
【企業の導入事例】コールバック予約システムはどのように活用されている?

ここからは、コールバック予約システムを導入している企業の事例をご紹介します。どのように活用されているのか具体的に把握するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
株式会社ニトリ
「ニトリ電話予約サービス」では、シンプルな入力フォームで誰でも簡単にコールバック予約が可能です。問い合わせ内容の記載欄を設けず、会員登録も不要にすることで、店舗、商品、配送など、あらゆる問い合わせの入り口として機能させています。
利用のハードルを下げることで、幅広い顧客層の利便性を高めている例です。
▼ニトリ電話予約サービス:https://nitori.resv.jp/
ソニー損害保険株式会社
「ソニー損害保険株式会社」は、自動車保険の契約者を対象に専用フォームからの申し込み形式でコールバック予約サービスを提供しています。
自動車保険の契約後には自動車の買い替えや保険契約の満期、変更の手続きなど、問い合わせが必要となるタイミングがあります。そのため、時間帯や曜日によっては、コールセンターが混み合うことがあります。
そこで、契約者の円滑なサポートを図るために導入されたのがコールバック予約サービスです。
契約者ページにログインをするとコールバック専用のフォームが用意されており、手軽に申し込みができます。予約フォームには、電話番号や予約日などの基本的な情報を入力するだけで申し込みが完了します。
▼コールバック予約サービス:https://faq.sonysonpo.co.jp/faq_detail.html?id=296
アクサ生命保険株式会社
「アクサ生命保険株式会社」では、保険商品を検討している人を対象にコールバックの予約をおこなっています。コールバック予約には複数の導線を設けて顧客が見つけやすいように工夫をし、予約段階で要件を絞り込めるようになっています。
専用フォームには電話番号や予約日の選択の他に、用件を選択する項目が設けられています。保険の相談やパンフレットの請求など問い合わせ段階でセグメントをすることで、オペレーターが対応しやすい状況を作っているところが特徴です。
▼コールバックの予約:https://www.axa.co.jp/request/callback/
DTI
インターネットプロバイダーサービスを提供している「DTI」では、カスタマーサービスを利用顧客を対象にコールバック予約を実施しています。
予約ページは予約日を選択しやすいカレンダー型になっており、顧客のスケジュールに応じて選択しやすいところが特徴です。予約したい時間帯をクリックすると、電話番号や問い合わせ内容を記入するフォームへと移行します。
顧客が分かりやすいフォーム設計で、手軽に利用できるコールバック予約システムだといえるでしょう。
▼コールバック予約:https://secure.dti.ne.jp/cgi-bin/callbackservice/main.cgi
予約システム「ChoiceRESERVE(チョイスリザーブ)」の事例は以下のページをご参考ください。
コールバック予約の導入で1件あたりの応対時間を短縮
Salesforceと連携した予約データをコールセンターで活用、二重管理と入力コストを削減
コールバック予約システムを導入する際の注意点

最後に、コールバック予約システムを導入するときのポイントをご紹介します。コールバック予約システムを有効活用するためにも、事前に把握しておくといいでしょう。
自社の課題に合っているか
コールバック予約システムを導入する前に、まずは自社のコールセンターが抱える課題を深く掘り下げ、優先順位をつけましょう。「電話が繋がらず顧客が離脱している」「オペレーターの負担が大きく、離職率が高い」など、企業が抱える課題はさまざまです。
次に、その課題を解決するためにシステムに何を求めるのか、必要な要件を洗い出す必要があります。例えば、放棄呼を減らすのが最優先なら「折り返し電話機能」が必須ですし、オペレーターの業務効率化なら「顧客情報との連携」が重要な要件になります。
導入するシステムが、こうした自社の課題を本当に解決できる機能を持っているか、しっかり見極めることが、失敗しないためのポイントです。
費用対効果は適切か
予約システムには、無料で使えるものから月額数万円かかるものまで、さまざまなサービスがあります。まずは自社の規模や業種、解決したい課題を明確にし、必要な機能とそうでないものをリストアップしましょう。
その上で、コストと機能のバランスが取れたシステムを選ぶことが重要です。無料プランや初期費用が低いシステムから試してみて、段階的にアップグレードしていく方法も有効です。
セキュリティ対策は万全か
予約システムには、顧客の氏名や連絡先といった重要な個人情報が保存されます。そのため、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策が非常に重要です。管理者設定、二段階認証など、どのようなセキュリティ対策が講じられているかを必ず確認しましょう。
また、情報管理に関する規約やプライバシーポリシーが明確に記載されているかもポイントです。顧客に安心して利用してもらうためにも、セキュリティ面で信頼できるサービスを選びましょう。
サポート体制が整っているか
システムを導入したものの、操作方法が分からなかったり、不具合が発生したりした際に、迅速に対応してくれるサポート体制は重要です。特に、ITに不慣れなスタッフが運用する場合、電話やチャット、メールでの問い合わせに丁寧に対応してくれるサービスを選ぶと安心でしょう。
導入時の初期設定サポートや、運用開始後の継続的なサポートが充実しているかを確認しておくことをおすすめします。無料のシステムではサポートが限定されている場合もあるため、事前にどのようなサポートが受けられるかを把握しておくことが重要です。
外部サービスとの連携は可能か
予約システムが、既存のサービスと連携できると、業務効率がさらに向上します。例えば、会計システムや顧客管理システム(CRM)、SNS、Googleカレンダーなどと連携することで、データの二重入力の手間を省き、シームレスな運用が可能になります。
自社が現在利用している、または将来的に利用を考えているサービスがある場合は、連携機能の有無を確認しておきましょう。これにより、予約業務だけでなく、マーケティングや顧客管理全体の効率化にもつながります。
使いやすいシステムか
どれだけ高機能でコストパフォーマンスに優れたシステムでも、使いこなせなければ意味がありません。管理者画面が直感的で分かりやすいか、パソコンだけでなくスマートフォンでも操作しやすいかなど、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)を重視しましょう。
無料トライアル期間を利用して、実際にスタッフが操作感を確かめてみることをおすすめします。使いやすさは、日々の業務効率に直結するため、導入前にしっかりと確認しておくべき重要なポイントです。
導入後の運用を成功させるポイント

最後に、コールバック予約システムを導入するときのポイントをご紹介します。コールバック予約システムを有効活用するためにも、事前に把握しておくといいでしょう。
予約時に問い合わせ内容を絞り込む
1つ目は、予約時に顧客の問い合わせ内容を絞り込むことです。顧客に架電をする前に問い合わせ内容を把握できることで、適切なオペレーターの選定や通話時間の短縮につながります。
コールバック予約システムの予約フォーム内に資料請求や商品の使い方、料金についてなどいくつかの選択肢を用意して、顧客に選んでもらえるようにするといいでしょう。
コールバック予約システムを利用しやすい導線を作る
2つ目は、コールバック予約システムを利用してもらえる導線を作ることです。コールバック予約を用意しても顧客が使わないと、あふれ呼の防止や業務効率化などの課題を解決する手段となりません。
- 問い合わせページや関連ページにコールバック予約システムへのリンクを設置する
- チャットボットや有人チャットと連携する
- SNSやブログなどのクラウドサービスで拡散をする
上記のような対策を実施してコールバック予約システムの存在を周知し、顧客を増やせるようにしましょう。
コールバック予約システムの具体的な導入方法

ここでは、導入を成功させるための具体的なステップを解説します。適切な準備と計画が、業務効率化と顧客満足度向上へつながるでしょう。
課題の特定と目的設定
コールバック予約システムを導入する最初のステップは、「なぜ導入が必要なのか」という根本的な課題を明確にすることです。
単に「便利そうだから」という理由ではなく、「応答率の低下」「放棄呼の増加」「オペレーターの負担増」など、具体的な課題を特定しましょう。その上で、導入によって「顧客の待ち時間を〇〇分短縮する」「オペレーター一人あたりの対応件数を〇〇件増やす」といった、具体的な目的や期待する効果を設定することが重要です。
要件定義とシステム選定
特定した課題と目的を解決するために、システムに求める機能(要件)を洗い出します。
例えば、「Webサイトからの予約受付機能」「予約完了後のSMS通知機能」「既存のIVRとの連携」など、必要な機能をリストアップしてみましょう。
自社の業務に最適なシステムを選ぶには、無料トライアルやデモを利用して、実際の使い勝手を試すのがおすすめです。また、要件定義が曖昧な場合でも、経験豊富な事業者と相談することで、自社に最適なシステムを提案してもらえるので安心です。
導入と設定
顧客がスムーズに利用できるように、Webサイトのわかりやすい場所に予約システムへの導線を設置することが重要です。
また、IVR(自動音声応答システム)との連携設定や、必要な項目を盛り込んだ予約受付フォームの作成など、具体的な設定作業を進めます。スムーズな運用開始のためにも、システム提供事業者のサポートを受けながら、設定漏れがないように進めていきましょう。
運用開始と効果測定
システムを導入後は、まずは社内での周知を徹底し、オペレーターへのトレーニングを実施しましょう。
新しいシステムに慣れてもらうことが、運用を成功させる第一歩となります。さらに、導入効果を可視化するため、事前に設定したKPI(重要業績評価指標)を定期的に測定し、改善点を探していくことが大切です。
応答率や顧客満足度の変化、予約件数など、具体的な数値に基づいてPDCAサイクルを回すことで、システムの価値を最大限に引き出せるでしょう。
コールバック予約システムでコールセンターの課題を解決
コールバック予約システムを導入することで、放棄呼・あふれ呼の発生やオペレーターの負担の分散などコールセンターの課題を解決できます。それだけでなく、顧客にとっても利便性が高く、顧客体験価値の向上につながると期待できるでしょう。
今回ご紹介した事例やコールバック予約システムを導入するときのポイントを参考にしながら、導入を検討してみてください。
コールセンターの予約システムの詳細は以下のページでご紹介しています。

