
予約業務を最大限に効率化できることで大変有用な予約システムですが、さらに予約情報のデータ連携を利用すると、予約業務以外の様々な業務においても負担を軽減できたり、業務効果を最大化できたりといったメリットが得られます。
予約システムのデータを連携するとどういったことが実現できるのかを具体的に解説します。
「予約システムの情報を連携する」とはどういうこと?
予約システムで自社のサービス提供や商品販売の予約を受け付けると、利用者が予約の操作をおこなう際に予約内容や個人情報をはじめとした様々な情報を入力します。
この際に入力された情報、つまり予約データを連携するとは一体どういうことなのかを見ていきましょう。
予約受付時やその後の対応などで取得したデータを他の業務に渡す
予約受付時には、顧客が入力してくれた情報が予約データとしてシステムに登録され、サービス提供者側は管理画面上でそれらの情報をいつでも一覧確認できるようになります。
予約サイトにどういった情報を予約者に入力してもらうかはサービス提供者側が決定できるため、得られる情報の種類も企業や店舗ごとに様々となりますが、以下に、予約時に得られる情報の例をご紹介します。こういったデータを、予約システムは他の業務システムやアプリケーションにそのまま渡すことができるという考え方になります。
・予約番号
予約ごとに、全体の通算あるいは選択メニューごとの通算などのルールでナンバリングし、予約番号を付与します。管理者側は、予約番号という単位でそれぞれの予約を取り扱うことができます。
・予約日
予約操作がおこなわれた日付、および予約を入れた先の日程に関する日付データです。
・メインメニューID、カテゴリID
予約者がどのメニューを入力したか、どのカテゴリを選択したかといったアクションに割り当てられるIDです。
文字列ではなくこういった「ID」での取扱いをすることで、業務管理上の利便性が向上します。
・オプションID
予約者が基本サービス以外のオプションサービス(料理メニューのオプション、発送商品の包装オプションなど)を選択した場合に、選択されたオプションのIDを示します。
・設備ID
予約者が利用希望として選択した設備に割り当てられているIDです。
・担当ID
当日の接客やサービス提供をおこなう各担当者ごとにあらかじめIDが割り振られており、予約者がどの担当者を希望したか、もしくはどの担当者を自動的にアサインしたか、といったことを示す情報となります。
・予約者会員番号
すでに顧客向けの会員システムを構築している場合にはそちらを参照するかたちで今回の予約者の会員番号を取得し、もし予約システム側で会員システムを新たに構築する場合には、そこで生成された会員番号を取得します。
・予約者会員ログインID
こちらも既にログインIDが付与されている予約者の場合はそちらのデータベースを参照し、そうでなければ予約システム側で新たにログインIDが生成されます。
・予約者メールアドレス
連絡先として予約者が入力したメールアドレスや、他の業務システムを参照して取得したメールアドレスです。
・最終更新日時
予約内容ごとに、例えば日程変更や選択サービス変更、キャンセルといった情報の更新があった場合の最終更新日時を示します。
・仮予約フラグ
入れられた予約が本予約ではなく仮予約状態の場合に表示されるフラグです。
・予約キャンセルフラグ
当該予約にすでにキャンセルが入り、無効な予約となっている場合に表示されるフラグです。
以上のほかにも、多機能な予約システムでは様々なパラメータ(予約データのなかの、変動する値)を取得することが可能です。
様々な業務で利用する「顧客に関するデータ」を一元管理できる
上記でご紹介したような、予約情報内の顧客に関する様々なデータを、予約システム側から他の業務システムに渡したり、他のシステムから予約システムへ取り込んだりといった方法で、複数の業務システム内にある同種のデータを常に共通かつ最新の内容として維持できます。
データ連携の方法は利用する予約システムの種類や、企業側のニーズによって様々であり、詳しくは後述する「連携方法の種類」の項でご紹介します。
なんらかの手段で予約システムと様々なシステムを連携することにより、統一された顧客情報(動的なステータス)に基づいた、スムーズで間違いのない業務をおこなえるようになります。
連携先として考えられる外部システムの例
本記事で冒頭からお伝えしている、「予約システムと連携する他の業務システム」には具体的にどのようなものがあるのかを解説します。
様々な業務がIT化されている現代においては、業種の違いや企業・店舗の規模を問わず、多くの業務システムをすでに活用していることでしょう。
以下でご紹介するようなものをはじめ、既存の様々な業務システムと予約システムを連携することが可能です。
顧客管理システム
それぞれの顧客との関係構築に役立てるための管理システムです。
顧客管理システムでは氏名や年齢・連絡先といった顧客の基本的な個人情報をはじめとして、これまでの購買利益や行動履歴、問い合わせの応対履歴、アンケート回答などで得られた趣味嗜好や望んでいるゴールといった、その顧客に関するこれまでに得られたあらゆるデータを蓄積し、管理をおこないます。
代表的な顧客管理システムには、「Salesforce(セールスフォース)」や「kintone(キントーン)」などがあります。
営業支援システム
特に営業活動的な観点において、顧客ごとの案件の進捗状況や希望内容などをデータとして蓄積し、営業の生産性向上や効率化に役立てるためのシステムです。
営業支援システムは、独立したひとつのシステムとして提供される場合もあれば、前述の顧客管理システムの機能の一部として提供される場合もあります。
代表的な営業支援システムには、「Sansan」や「eセールスマネージャー」などが挙げられます。
会計管理システム
財務会計システムは、会計帳簿の記帳や財務諸表の作成をおこなえるシステムです。伝票入力や決算書の作成、帳票の出力といった担当者の仕訳や簿記に関する業務をサポートし、大幅に自動化することが可能です。
代表的な営業支援システムには、「freee会計」や「ジョブカン会計」といったものがあります。
在庫管理システム
在庫管理システムでは、顧客に販売する商品やサービス提供にあたって必要となる物品などについて、在庫品の数量や入庫日、使用期限などの情報を一元的に管理できます。
また、在庫の適切な維持のために必要となる仕入管理やバーコードスキャン対応機能などを兼ねている場合もあります。
代表的な在庫管理システムには、「zaico」や「サイボウズ Office」などがあります。
販売管理システム
受注活動から納品まで、販売に関する一連の業務の流れを一元管理できるシステムです。
顧客からの受注を得て見積もりや在庫からの確保、コスト計算や出荷といった処理をおこない、売上管理や請求書の発行、入金管理などまでをフォローする統合的なシステムが多くなっています。
代表的な販売管理システムとしては、「弥生販売」や「販売王」などが挙げられます。
勤怠管理システム
従業員の出勤状況や退勤状況、タイムカード打刻との連携といった、勤怠の管理を一元化できるシステムです。
状況に応じたスタッフのシフト調整や休暇管理、給与計算業務などを効率化することに役立ちます。
代表的な勤怠管理システムには、「マネーフォワードクラウド勤怠」や「ジョブカン勤怠管理」などがあります。
予約システムで取得した予約情報を外部連携するとできること
前述でご紹介したような様々な業務システムと予約システム上の予約データを連携することによって、以下のような業務上の効果が期待できます。
顧客への対応品質を向上できる
予約システム側で得られた顧客情報をもとに、顧客管理システムや営業支援システムに蓄積されている当該顧客の既存データを参照できれば、これまでの販売実績や営業活動の状況、メールやチャットでの問い合わせ履歴などに基づいた適切なサービス内容を検討しやすくなります。
例えば来店当日に当該顧客の趣味嗜好にあわせたプラスアルファのサービスを提案したり、過去の相談履歴をもとにした満足度を高める対応をおこなえるようになるでしょう。
また逆に、今回の予約対応で生じた様々な対応内容、やりとりの内容などを顧客管理システムや営業支援システムに渡すことも容易です。
適切な在庫管理・倉庫管理をおこなえる
商品の販売であってもサービスの提供であっても、予約に伴う商品在庫や備品在庫の増減が発生します。在庫管理システムや倉庫管理システムと予約データを連携すれば、増減に関する状況が自動的に各システムで最新のデータに更新されます。
データ反映もれによりサービス当日に必要な備品が足りなかったり、在庫管理システム側で必要以上の入荷を指示してしまったりといった行き違いを避けられるでしょう。
会計や請求業務を簡略化できる
金銭が関わる会計や請求の業務は、万が一にも間違いがあってはならない会社の信頼性を左右するほどに重要な業務といえます。
予約システムと会計システムを連携すれば、顧客自身が選択・入力した内容をもとに、間違いのない決済や請求書発行をおこなえます。
予約状況に応じてスタッフのシフトを最適化できる
予約状況の増減や、予約時間帯の偏りなど様々な要素によって、「その日に必要なスタッフの人数」は変化します。
予約システムと勤怠管理システムを連携すれば、リアルタイムな予約状況の変動を参照しながら、当日や翌日以降のスタッフシフトを最適化できます。
データを今後の経営戦略・営業方針策定に活かせる
予約システムで蓄積された予約状況や販売状況のデータから、予約メニューの人気の偏り、特定のサービスが利用されやすい時期、家族人数と選択メニューの関係性など、様々な事柄が把握できます。
予約時のアンケートで具体的に回答してもらったニーズなども含め、これらの予約データを顧客管理システムや営業支援システム、そのほかの基幹システムへ連携し蓄積していくことによって、新規サービスメニューの追加や料金の改定、無料イベントの展開など今後の経営戦略や営業プラン策定にあたっての大きな材料となるでしょう。
予約システムと外部システムの連携方法の種類
本記事の冒頭で、予約システムと他の業務システムを連携する方法が複数あるとご紹介しました。
以下でそれぞれの方法の概要を解説します。
解説するそれぞれの方法については、利用する予約システムおよび連携したい外部システムがその連携方法に対応している必要があります。
API
代表的な予約システムで多く採用されている連携方法です。
APIとは「Application Programming Interface」の頭文字をとった略称で、2つ以上の異なるアプリケーション間で、データの受け渡しやデータの更新をおこなうための仕組みを指します。
予約システムと他の業務システムがそれぞれ特定のAPIに対応していれば、そのAPIを使って目的のデータを連携し、双方で同じデータを共有できることとなります。
Webhook
Webhookでの連携に対応している予約システムもあります。WebhookもAPIと同じく、2つ以上のシステム間で、更新されたデータを自動的に共有するための仕組みです。
APIはプログラム的にまず更新状況の問い合わせから始まり、Webhookは他方から問い合わせがなくても更新状況を届けられる、といった違いがありますが、実現できる内容に大きな違いはありません。
CSVデータ出力&取り込み
CSV(Comma-Separated Values)とは、コンピュータ上で扱われるデータ形式の一種です。例えば一般的な業務内でもExcelを利用している際に、Excel専用のデータ形式で保存するか、より汎用的で様々なアプリケーションで開くことができる「.csv」の形式で保存するのかという選択をした経験がある方も多いことでしょう。
CSV形式での予約データ出力や取り込みに対応している予約システムは多くあり、例えば予約システム内の予約データをCSV形式で取り出してから他の業務システムに取り込んだり、逆に他の業務システムのデータをCSVにして予約システムに取り込む、といったかたちで手動で双方のシステムのデータを統一することが可能です。
予約システム「ChoiceRESERVE」はAPI連携とCSVダウンロード/アップロードに対応!
多機能・全業種対応型の予約管理システム「ChoiceRESERVE」では、API連携とCSVのダウンロード/アップロードに対応しています。
またセキュリティ面でもISMS認証、ISMSクラウドセキュリティ認証に基づいた設計をおこなっていますので、大切な顧客の個人情報取り扱いにおいても安心してご利用いただけます。
▼参考:
ISMS認証、ISMSクラウドセキュリティ認証の取得をはじめとした「ChoiceRESERVE」のセキュリティ対応状況についてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
・セキュリティへの取り組み|ChoiceRESERVE
API連携
予約日時や予約者の選択メニュー、個人情報といった予約受付で得られたすべてのデータを、API連携に対応している他の業務システムへ連携することが可能です。
CSVダウンロード
CSVに関しては予約受付で得られた、様々なパラメータのデータを個別に指定してダウンロードすることが可能です。
CSVアップロード
CSVアップロードにも対応しているため、例えば既存の会員システムに蓄積されている会員データをCSVとして予約システム側に取り込んだり、予約サイトに表示させたい時間割やスケジュールをまずCSVで作成してから一括アップロードする、といった便利な使い方が可能です。
▼参考:
予約システム「ChoiceRESERVE」のAPI連携についてはこちらの資料でもご紹介しています。
・API連携で予約情報を連携できる予約管理システム|ChoiceRESERVE
予約システムのデータ連携機能を活用して、予約業務以外も最大限効率化!
本記事では予約システムと他の業務システムを連携するとはどういうことか、そして連携で実現できることや具体的な連携の方法について解説しました。
せっかく自社の業務に予約システムというツールを導入するのであれば、予約関連業務の効率化のみでなく、全社的な業務全体の効率化のためにデータ連携をおこなうことをおすすめします。