食事どきの飲食店や限定商品を販売する店舗、イベントの順番待ちなど店舗や企業の催しでは行列がしばしば発生します。行列ができることは顧客のニーズや人気の高さの表れである一方、場合によっては顧客満足度の低下を招く原因ともなります。行列のできる原因を知り、対策に努めることが必要です。 この記事では行列を事前に防ぎたい店舗や企業向けに、その原因と有効な対策方法を解説しています。ぜひ参考にしてください。
行列がもたらす悪影響とは
「行列ができる」ことは、人気がある、評判があるなどの肯定的な印象がある一方、それによって生じる問題が、店舗や企業に悪影響をもたらすことも多いです。ここでは、行列による悪影響を解説します。
行列を避けたい人にマイナスイメージを持たれてしまう可能性がある
行列ができている店舗や場所に対して「人気がある」と感じる人もいます。さらに行列ができる場所は話題性があることの表れでもあるため、「行列ができていれば並ぶ」という人もいるでしょう。
一方、「待ち時間がもったいない」「長時間立っていると疲れる」「人が密集しているためウイルス感染が気になる」などと考え、行列を避ける人もいます。
予約ラボが実施した「店舗の行列に関する調査」では、「行列に並ぶことが好きか」という質問に対して「いいえ」と答えた人は全体の72.4%という結果が出ています。店舗や企業側が行列発生への対応を行っていないことが、行列を避けたい人へ悪い印象を与えてしまうこともあるでしょう。
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店舗の行列に関する調査
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顧客満足度が低下する可能性が高い
行列に並んで待つというプロセスを踏むことで、顧客がスムーズに入店、または入場したときと比較すると、商品やサービス、店舗の対応への期待値が上がってしまうことがあります。その結果、商品やサービス、従業員の対応において「長時間並ぶほどの価値がなかった」という印象を与えやすく、期待外れと判断されてしまう可能性があります。
同じ商品、同じ質のサービスという条件下でも、スムーズに入店や注文ができてサービスが提供された場合よりも、行列が発生した場合のほうが、顧客満足度が下がる傾向にあります。前述の「店舗の行列に関する調査」の「お店の行列に並んで後悔したか」という質問に対しては、全体の58.5%が「はい」と回答しました。並んだことを後悔した理由として「待ち時間の長さ」のほか「商品やサービスが期待外れ」「店舗の対応が悪かった」も挙げられています。
行列によるトラブルの発生
行列によりトラブルや苦情が発生することもあります。具体的には行列の順番が前後する、割り込みをされるといった顧客同士のトラブル、「並んでいた順番と案内された順番が違う」のように、店舗に対し苦情が出るなどです。顧客同士、顧客と店舗・企業側とのトラブルだけでなく、騒音や付近の交通への影響、通行できる道幅が狭くなるなどで周辺住民とトラブルが生じることも懸念されます。
店舗や企業はトラブルへの対応が求められるほか、対応によっては信頼度や評価が下がってしまうといった悪影響も考えられます。
行列が発生する原因
行列が発生する原因は多種多様ですが、それぞれの原因に応じた対策をすることが重要です。ここでは、店舗や企業のイベントなどで発生する行列の原因を解説します。
一時的な宣伝や評判の効果
テレビ番組で商品が取り上げられたり、SNS上で商品情報がバズったりする等により、世間やインターネット上で一時的に話題になることがあります。これにより人気ににわかに火が付き、行列ができるというパターンです。
一時的な人気や評判が落ち着けば行列は解消されますが、行列によって今まで来ていた常連客やリピーターが離れてしまう可能性があります。
多くの顧客に対応できない
小規模、スタッフ数が少ない、窓口がひとつのみといった店舗や、従来からあまり多くの来客を想定していない店舗などが該当します。こうした店舗はキャパシティが少ないため、前述の一時的な人気や評判、宣伝効果によって行列が発生することもあるでしょう。
または営業を続けるうちに人気が定着し、客数が増えたため今までの設備や従業員数では対応できなくなる場合もあり、それまで行列ができていなかった店舗や窓口にも行列ができる原因となります。
周りの環境の変化
店舗や企業の周辺環境に変化があると集客数に影響があります。具体的には新しい道路が開通した、人気のスポットが店舗の周りにできた、競合が閉店したなどです。
特に、近隣に競合の存在がない場合は、ひとつの店舗に顧客のニーズが集中してしまいます。その結果、対策をしていなければ行列が発生することが懸念されます。
行列が行列を生む
行列に並ぶのは嫌いという人がいる一方で、行列ができていることから期待値が高まり、とりあえず並んでみるという人も一定数います。一時的にできていた行列が、さらに行列を生んでしまう原因になることも考えられます。
対応に時間がかかる
案内されてから、退出するまでに時間がかかる場合も行列ができやすい原因となります。従業員数が少ない、メニューが多いなどがこれに該当します。注文に時間がかかる、料理やサービスの提供に時間がかかる、窓口がひとつしかなく会計に時間がかかるなどの理由で滞在時間が長くなり、店舗に入ることができる人数が限られるために行列ができるパターンです。
店舗や企業の行列への対策方法
店舗や企業で行列ができる原因は多々あります。おもな原因を把握し、必要な対策をすることで行列の緩和や防止につながります。
集客数に見合った設備規模と従業員数を整える
座席数が少なく一度に入店できる人数が少ない、対応できる従業員数が少ないなどのケースでは、店舗の座席数や従業員数を増やすといった対策方法があります。店舗のスペースが限られている場合でも、客層をリサーチしニーズに見合ったレイアウトを行うことで座席数の確保にもつながるでしょう。
たとえばラーメン店など、ひとりで利用するケースが多い店舗では、テーブル席のスペースではなくカウンター席のスペースの割合を増やすといった方法があります。全体の広さだけでなく、客層に合わせた配分を整えるのが重要です。
オペレーションを見直す
案内、注文、提供、会計など店舗で発生するさまざまなオペレーションを見直し、全体的な利用客の滞在時間を減らして回転率を上げる方法です。たとえば会計や注文に時間がかかる場合には食券を導入する、会計方法を現金以外にクレジットカードや電子マネーにも対応させる、類似するメニューが多く顧客のメニュー選びや厨房での料理に時間を要しているという場合には厳選してメニュー数を少なくする、お冷や食器類はセルフにするなどの対応方法があります。
待ち時間や待ち人数を見える化する
「〇分までなら待てる」など、行列に対する許容範囲は人によって異なります。待ち時間や待っている人数などの情報を提示することで、顧客が行列に並ぶときの判断基準になり、時間の目安を可視化することで安心感につながります。
時間や待ち人数の目安を提示する方法には「ご案内まであと〇分」「現在〇組がお待ちです」と表示する店頭のボードや、オンラインのページを設置する方法があります。
予約管理システムを導入する
オンラインで予約ができる予約管理システムを導入することも行列対策につながります。予約制を導入することにより、それぞれの顧客が予約時間に来店すればスムーズな案内も可能になり、行列の緩和が可能です。
予約システムにより、行列対策以外にもさまざまなメリットが得られます。たとえば客数を事前に把握できるため、準備する食材や従業員のシフトも適切なものに調整できます。
キャンセル予約受付ができるシステムであれば、キャンセルが発生しても新たな予約へスムーズに入れ替えられるため機会損失も防げます。準備した食材やシフトを入れた従業員の人件費が無駄になることも防げるでしょう。
クレジットカードなどによる事前決済機能が付いている予約システムなら、店舗での会計にかかる時間を省けるほか、ドタキャンやいたずら予約なども防止可能です。たとえばクラウド型予約システム「ChoiseRESERVE」ならキャンセル予約や事前決済機能など、行列対策にも、店舗のオペレーション改善にもつながる豊富な機能がそろっています。
事前注文システムを導入する
任意の商品やサービスを事前に注文受付し、指定した時間に顧客が来店して受け取る、またはサービスの提供を受けるという仕組みを実現できるのが事前注文システムです。たとえば注文から提供まで時間がかかる商材を提供しているため行列が発生しているというケースでは、事前注文システムの導入が有効です。
事前注文システムは、感染防止のために人流を分散させたいときや、ラッピングなどのオプションが発生し受け渡し時に時間がかかるような商材にも向いています。飲食店の場合にはテイクアウトにも利用できるので「自宅でゆっくり食べたい」といったニーズも満たせるでしょう。
事前注文システム「COTOL」なら、待ち時間による行列の解消や「今日は利用できるか」「事前にメニューや商品の情報を知りたい」などの顧客ニーズにも対応できる豊富な機能がそろっています。
▼参考サイト
事前注文システム「COTOL」公式サイト
行列の対策をすれば利益や顧客満足度向上につながる
行列が発生することで起きる可能性のある悪影響を踏まえて、行列の発生する原因や対策方法を紹介しました。すでに行列が発生している場合はもちろん、今後行列が発生する可能性がある場合でも、事前の対策が重要です。
行列は人気のバロメーターでもありますが、場合によっては行列が発生しないよう対応することで、より店舗や企業への信頼度や顧客満足度も向上できるでしょう。