この記事の3行まとめ
  • デジタル移行が進む一方、対面やリモートによる高度な相談需要への対応体制再構築の動き
  • 相談枠の設定や事前予約制の導入による、人・時間・場所などのリソース最適化と業務効率化
  • 一部店舗での試行や複数受付手法の維持など、現場の事情や顧客利便性に配慮した段階的展開

日常の取引はスマートフォンで済むようになった一方で、資産運用や相続、住宅ローン、事業の引き継ぎなど、担当者に相談しながら決めたい用件は残っています。

「相談の件数は減っていないのに、対応する人員や時間が足りない」
「オンライン面談を始めたものの、店舗との予定調整が増えた」

このように、相談対応のあり方に課題を感じている金融機関の担当者の方も多いはずです。

店舗をめぐる議論では、これまで店舗数の削減や手続きのオンライン化に注目が集まりがちでした。しかし各社の取り組みを見ると、店舗や専門人材をどう配置し、どのような方法で相談に応じるかまで見直す動きが見えてきます。

本記事では、京都フィナンシャルグループ、みずほ証券、京都信用金庫などの事例をもとに、これからの相談窓口の考え方と、相談の選択肢と対応体制をつなぐ予約の役割を解説します。

日常の手続きとじっくり相談する時間を分ける

カウンター越しに相談をしている様子

京都フィナンシャルグループは、2026年4月に公表したチャネル戦略で、日常取引はデジタルへ、相談業務は対面またはリモート面談へという方向性を示しました。

京都銀行では、同年4月からアプリの操作を案内する「デジタルブース」を全店に設置。同資料では、自宅などから利用できるリモート相談窓口の設置や、複数の店舗が一つの建物で営業する「店舗内店舗」への段階的な移行も打ち出しています。

出典:京都フィナンシャルグループ「チャネル戦略について」

ここから読み取れるのは、店舗にも、デジタルの利用を支える役割と、人が相談に応じる役割があるということです。それぞれをどう組み合わせれば、お客さまが必要なサービスにたどり着きやすくなるか。その視点で接点を見直していると考えられます。

みずほ証券では、2026年10月1日から全店に相談の事前予約制を導入。相談予約ページでも、店舗とオンラインの相談を予約制と案内しています。利用者は相談内容を選び、店舗かオンラインかを選択して、日時などを入力する流れです。

出典:みずほ証券「相談予約サービス」

また、同年8月に発表した新たなコンサルティング体制では、営業員を新拠点へ集約し、知見の共有や育成を進める方針を示しました。平日の夕方以降や土日祝日の相談にも対応する計画で、体制の移行は2026年10月以降、首都圏を中心に順次進めるとしています。

出典:みずほ証券「新たなコンサルティング体制への移行について」

相談の方法を増やすだけでなく、対応する人材や時間帯まで組み直す。そこに、これからの店舗運営を考えるヒントがあります。

予約が窓口の使い方を変えている

笑顔でスマホを見る女性来店予約を、窓口運営のルールに組み込む動きもあります。

京都信用金庫は、2026年6月から、ネット専用支店や事業性特化型店舗などを除く84店舗で、午前と午後の窓口の役割を分けています。

  • 午前9時〜12時:従来どおりの窓口受付
    入出金や振込、税公金納付などを含む各種手続きに対応する。
  • 午後12時〜16時:予約専用窓口
    予約したお客さまの資産運用やローン、事業の相談、対象となる手続きに対応する。

あわせて、対象店舗の窓口営業時間を従来の15時から16時まで延長。予約はアプリや公式LINE、ウェブに加え、店頭や電話でも受け付けています。

出典:京都信用金庫「午後の窓口を事前予約制に」

この取り組みで注目したいのは、予約に合わせて、窓口の時間の使い方も変えていることです。

その日に必要な手続きを受け付ける時間と、あらかじめ内容を把握して相談に応じる時間を分ける。予約を店舗運営の中に位置づけることで、相談に向き合う時間を確保しようとしています。

相談窓口が増えるほど人・時間・場所の調整が必要になる

コールセンターで電話を受けるスタッフ店舗でもオンラインでも相談できることは、お客さまにとって便利です。ただし、窓口が増えても、対応できる担当者や時間が同じだけ増えるとは限りません。

資産運用の相談と住所変更の手続きでは、必要な知識も所要時間も異なります。相続の相談なら、専門部署との連携や事前の書類確認が必要になることもあります。同じ担当者が対面とオンラインの両方を受け持つ場合は、予定を別々に管理すると重複が起こりかねません。

そこで考えたいのが、相談内容に合わせた「相談枠」です。誰が、いつ、どこで、何に対応できるかを、次の要素から整理します。

  • 人:誰が対応するか
    店舗の担当者で対応できるか、専門部署との連携が必要か。
  • 時間:どれだけ確保するか
    面談だけでなく、事前確認や相談後の対応にも時間が必要か。
  • 場所・設備:どこで相談するか
    店舗の相談席、自宅からのオンライン面談、店舗内のリモート相談ブースなど、何を使うか。
  • 準備:相談前に何を確認するか
    相談の目的、必要書類、担当者への引き継ぎ事項を、誰が確認するか。

琉球銀行の導入事例では、店舗内のリモート相談ブースを十分に活用できていなかったことも、来店予約を検討する背景として挙げられています。本部の専門部署へ相談できる設備があっても、お客さまをそこへ案内する流れがなければ、利用にはつながりにくいという課題です。

出典:株式会社 琉球銀行 様の導入事例 | ChoiceRESERVE

相談できる設備を用意することと、必要な人に使ってもらえることの間には、受付や案内の設計があります。予約は、その流れを整える手段の一つになります。

予約画面を作る前に、相談の流れを整える

3つのステップ予約の仕組みを考えるときは、まず、現在の受付でどこに手間がかかっているかを確認します。

希望日時を電話で聞き、担当者の予定を確認し、お客さまへ折り返す。相談内容がわかってから、あらためて別の担当者へ引き継ぐ。こうした調整が多い場合、予約時に確認する内容や、その後の担当分担を見直す余地があります。

整理したいのは、次の五つです。

  1. 手続きと相談を分ける
    デジタルで完結できる業務と、人による説明や判断の支援が必要な相談を整理する。
  2. 相談方法を決める
    内容に応じて、店舗、オンライン、電話など、どの方法で受け付けるかを決める。
  3. 確保する人・時間・場所を決める
    担当者、相談時間、相談席や設備のうち、予約時に何を押さえる必要があるかを確認する。
  4. 予約後の業務をつなげる
    担当者の割り当て、事前連絡、書類の準備、変更やキャンセルへの対応を整理する。
  5. 本部と店舗の役割を分ける
    共通の受付基準と、各店舗が人員や地域の事情に応じて調整できる範囲を定める。

この設計を確かめる方法として、条件の異なる少数店舗から始める進め方があります。

金融機関 最初の取り組み 全店への展開
池田泉州銀行 2024年10月、地域や業務量、来店傾向の異なる5店舗で開始 現場の要望を反映しながら段階的に拡大し、2025年7月に全110店舗への展開を完了
琉球銀行 2025年9月、地域・規模・リモート相談ブースの有無が異なる6店舗で試行 約1か月の試行を経て、同年10月に相談窓口を中心とする全64店舗へ展開

両行の事例から参考にできるのは、店舗ごとの違いを確かめながら進めた点です。試行店舗を選ぶ際も、規模や来店傾向の異なる店舗を含めることで、共通化できる部分と個別の調整が必要な部分を見つけやすくなります。

出典:株式会社池田泉州銀行 様の導入事例 | ChoiceRESERVE、株式会社 琉球銀行 様の導入事例 | ChoiceRESERVE

予約に合わせにくい相談にも入口を残す

ノートパソコンを笑顔で見つめる夫婦相談の受け皿を整える際には、予約になじみにくい利用も考えておく必要があります。

急ぎの手続きが必要な人もいれば、相談内容をうまく言葉にできない人もいます。ウェブ予約の操作に不安がある人にとっては、予約方法そのものが相談の壁になるかもしれません。

たとえば、次のような選択肢を用意しておくことが考えられます。

  • ウェブ予約が難しい場合:電話や店頭で受け付け、職員が予約を登録する
  • 急ぎの用件がある場合:内容を確認できる連絡先と、通常の予約とは別の対応手順を設ける
  • 所要時間を見積もりにくい場合:まず初回相談の時間を設け、その後の対応を決める

京都信用金庫が午前の通常受付や電話・店頭での予約を残していることも、複数の入口を用意する一例です。

出典:京都信用金庫「ご来店予約サービス」、同金庫プレスリリース

また、オンラインで完結できる手続きは、その方法をわかりやすく案内します。お客さまが用件や状況に合わせて利用方法を選べることが、相談しやすさにつながります。

必要なときに話ができる関係へ

店舗が近くにあること。自宅から相談できること。仕事の後に時間を取れること。お客さまにとっての利用しやすさは、一つではありません。

各社の取り組みから見えてくるのは、店舗、デジタル、専門人材を組み合わせながら、相談に応える体制をつくり直す動きです。その実現には、相談内容と担当者、時間、場所を結びつける運用が欠かせません。

まずは、現在の受付を振り返り、調整が滞っているところや、相談につながりにくいところを見つけること。そこから、予約で整えられる範囲を考えていくとよいでしょう。

「相談したいと思ったときに、頼れる相手につながる」。そんな関係を支えるために、店舗や予約のあり方を見直す意味があるのではないでしょうか。

相談業務の整理ならChoiceRESERVE(チョイスリザーブ)へお任せください

ChoiceRESERVEの画面イメージチョイスリザーブは、池田泉州銀行や琉球銀行など、金融機関の来店・相談予約に利用されています。両行の事例では、少数店舗での試行から全店展開までの進め方も紹介しています。

株式会社池田泉州銀行 様の導入事例 | ChoiceRESERVE
株式会社 琉球銀行 様の導入事例 | ChoiceRESERVE

現在の受付方法や相談内容をもとに、予約で対応する範囲、本部と店舗の役割分担、少数店舗から始める進め方を一緒に整理します。導入の具体化に向けた情報収集の段階でも、お気軽にご相談ください。

金融機関の来店・相談予約について相談する

「金融機関ウェブ予約サービスの現状(成功事例つき)」
ホワイトペーパーダウンロード

この資料でわかること
  • 競合に差をつける「予約体験の質」戦略を解説?
  • 窓口業務の効率化と顧客接点のデジタル化を
    両立するDX推進の要点
  • 「ただ導入しただけ」で終わらない、
    成功に不可欠な3つの条件
今すぐ資料をダウンロードする(無料)リンクアイコン